NFCとは
NFCとは近距離無線通信規格のひとつで、「Near Field Communication」の略です。日本の企業ソニーと、オランダの企業であるNXPセミコンダクターズが共同開発し、2003年にはISO/IEC18092として国際標準規格になりました。
NFCは、NFCを搭載したスマホやカードリーダーなどの電子機器に、ICチップを搭載したカードやタグ、電子機器などを10cm程度に近づけるだけで無線による双方向の通信が可能になる技術です。
スマホでは、おサイフケータイやApple Payなどのキャッシュレス決済に使われるほか、非接触ICチップを埋め込んだNFCタグを近づけるだけで、アプリの起動などさまざまな操作が行えるようにもなります。

NFCの機能
NFCには、非接触ICカード、リーダー・ライター、端末間通信(P2P)の3つの機能があります。それぞれについて詳しく説明します。
非接触ICカードとしての機能
非接触ICカードとしての機能とは、NFC搭載のICカードにあらかじめお金をチャージしておくことで、キャッシュレス決済が可能になる機能です。
また、事前にチャージする方式のほか、クレジットカードを登録して後払いでキャッシュレス決済ができるものもあります。
キャッシュレス決済は、電車やバスの切符など公共交通機関のほかに、コンサートチケットやポイントカードなどとしても使われています。
リーダー・ライターとしての機能
リーダー・ライターとしての機能は、NFCタグやICカードなどに近づけるだけで情報を読み取ったり、書き込んだりできる機能です。
例えば、NFCを搭載したスマホとNFCタグを埋め込んだポスターを近づけることで、キャンペーン情報やクーポン情報などを読み取れます。
ほかには、NFCを搭載したスマホにICカードを近づけると、残高や使用履歴などがわかる機能もあります。
端末間通信(P2P)の機能
端末間通信(P2P)とは、NFCを搭載した端末同士を重ねることで、データの送受信が可能になる仕組みです。
連絡先や閲覧しているWebサイトなどの情報をスマホ同士で交換できるほか、NFCに対応したパソコンからスマホへ、動画などの重いデータを転送する場合などにも使えます。
NFCの代表的な規格について
NFCには代表的な規格として、Type-A、Type-B、FeliCa(Type-F)の3つがあります。それぞれについて説明します。

Type-A
Type-Aはオランダの企業NXPセミコンダクターズが開発した規格です。安価に生産できるため、海外では「Mifare(マイフェア)」と呼ばれるサービスが電子マネーや公共交通機関などで広く使われています。
ただ、後述するFeliCaと比べると、処理速度が遅いことが難点です。
国内でも、たばこの自動販売機で使われているtaspo(タスポ)や、かつて使われていたNTTのICテレホンカードなどでType-Aは使われています。
また、Apple PayもType-Aに対応しています。
Type-B
Type-Bはアメリカの企業モトローラが開発した規格です。CPUを内蔵していてセキュリティリスクに強い反面、Type-Aよりも製造コストが高くなる点がデメリットです。
Type-Bも海外では広く使われているほか、国内でも、Visaのタッチ決済やMasterCardコンタクトレスなどクレジットカードを使ったキャッシュレス決済に使われています。
セキュリティ面で信頼できることから、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど官公庁系のカードでも活用されていることが特徴です。
なお、Apple PayはType-AだけでなくType-Bにも対応しています。
FeliCa(Type-F)
FeliCa(Type-F)はソニーが開発した規格で、国内で主流のNFCです。
Type-AやType-Bとは異なり、国際規格のISO/IEC14443からは外れているため、海外では使えないことが多いのがデメリットです。
FeliCaは処理速度が約0.1秒と高速な点や、セキュリティ性が高い点が特徴です。
nanacoやiD、楽天Edy、QUICPayといった電子マネーのほか、Suica、PASMO、ICOCAなどの交通系ICカードにも使われています。
スマホでは、AndroidのおサイフケータイなどにFeliCaが利用されています。
Apple Payは当初Type-AとType-Bのみしか使えませんでしたが、iPhone 7/7 Plus以降FeliCaにも対応しました。
特徴 | 使用例 | |
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Type-A |
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Type-B |
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FeliCa(Type-F) |
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